2022シーズンを振り返って

チャナティップが川崎に買われる衝撃から始まった2022シーズン。新戦力にガブリエル・シャビエル、興梠(浦和からレンタル)らを迎えて臨んだリーグ戦は開幕6試合ドローの後、鳥栖に0-5大敗し、一気に危機感が高まる。しかしその後は引き分けをはさみながらA名古屋、H湘南、H京都と白星を積み重ねることができた。

今季初参戦はかなり遅くなってしまい、Aガンバ戦。急遽現地参戦を決めた一戦、昨シーズンの吹田は5-1で大勝したがこの日は相手GK一森が止めまくり、ゴールレスドローに甘んじた。気温もそれなりに上がりつつあった時期で、北国のチームが調子を落とし始める時期に足がかかっていたともいえる。

夏場、レッドカード乱舞の地獄が始まる。H柏戦で福森、A神戸戦でシャビエル、A京都戦で菅野が退場。特に福森と菅野は前半の早い時間で、たたでさえ苦しいバイタル事情が一層逼迫した。アウェーの2戦はどちらも参戦したが、全敗となった。

初めて訪れたノエスタ(2017に神戸遠征したがユニバーだったので)。良い雰囲気のスタジアムだったが、あまり札幌が勝てた記憶はない。2019のような対神戸の相性が戻る日が来るだろうか。

サンガスタは吹田以上のプレミア感が素晴らしかった。数的不利で負けてしまったが、今度はこの地で勝ちたい。執筆時点で京都はプレーオフ圏内だが、来季はどうなるか。

時期は前後するが、6月はカップ戦にも二つ参戦した。まずはルヴァン杯プレーオフステージの2nd leg、A広島戦。たまたま西日本におり、広島は決して近くなかったがこれも縁と山陰から馳せ参じた。試合は1-1で久しぶりに敗戦ではない試合を見ることができた(エディスタでこの気分を味わうのは、ちょっと2017シーズンを思い出した)が、アグリゲートスコアで完敗。ルヴァンに対する思い入れがすっかり深くなった札幌サポーターとしては、やはり一定量の悲しみがあった。

ものすごい湿気の日で、アストラムラインで眼鏡が曇りまくっていたことを思い出した。選手にとってその点でも簡単ではなかっただろう。

もう一戦は天皇杯3回戦のA甲府戦。2017以来に甲府を訪れたが、あのときは敗戦と深井の大怪我でまるで良い思い出が無い。J1に定着したチームの意地を見せてほしかったがやはり連戦からの立て直しに苦しみ、逆転負け。試合後の選手挨拶では容赦ないブーイングが浴びせられ、思えばここが今季の底だったようにも思う。その後甲府は見事に天皇杯優勝。チャンピオンチームに敗れるならば納得も行くところか。

リーグ戦に話を戻すと、その後の現地参戦も無惨に負け続けた。A川崎2-5、A東京0-3、A柏0-1。この辺りから、降格も覚悟せねばと思うようになる。

やられたらやり返せ、は福森退場の煽りを受けて1-6で大敗したホームでの対戦を受けて。返り討ちに遭ったが、今季の対柏はとことん巡り合せが悪かったとしか言いようがない。実は日立台は初参戦で(今まで尽くタイミングが合わなかった)、噂に違わぬ近いピッチを前に勝ち試合を見られなかったのは残念である。

味スタでは久々の声出し応援が解禁されたが、残念ながら1ゴールも上げられない敗戦となった。個人チャントなどはほぼ歌われず、再開に際してUSの方もいろいろ模索されていたのだろうか。スティングには、やはり感じ入るところがあった。

8月。救いのある結果となったのは5-1のA湘南戦勝利。通常であれば夏場のこのアウェーは参戦していたはずだが、帰省と、何故か湘南に行く気が起こらず不参加。こういうときに限ってチームは勝ってくれたりするものである。イニエスタ観に行く?と聞いたら乗り気になった両親をエスコートしたH神戸戦はイニエスタ不在、試合も完敗で良いこと無し。母が試合終盤に一度だけこぼした本音「弱…」に、何故だか私がやたら弱気になった。湘南戦の大勝がなかったら、もう少し落ち込んでいたかもしれない。

ここまで、現地観戦で勝利は一度も無し。決死の覚悟で臨んだ2017シーズンでさえH大宮戦など早い時期に勝利を見られていたことを思い返すと、今季は負けることに対する耐性も少し弱まっていたのかもしれない。2016から現地観戦を始めて、現地に居なくとも試合はリアタイ(または情報遮断後にフル視聴)することが常なのだが、初めてその集中が途切れてしまったかもしれないHセレッソ戦。今季は間違いなく、この試合が最も大きな転機となった。こういうときに限ってチームは以下略。別の用事をこなしながらもチラチラ映像は観ており、確か先制されるところまでは把握していたはず。その後、試合終了まで情報を追うことができず、遮断したまま続きを見ようと思っていたはずなのだが、どうしてかネット上の他サポの言葉が目に入ってしまったのである。「札幌」「劇的」。あれ、勝ったのか…?

ゴニ、値千金の初ゴール。青木、渾身のブザービーター

…これをリアタイできなかったのは、集中を欠いた私に与えられた罰かもしれないが、とにかく上手く行かなかったシーズンにおいてこの2-1勝利の喜びは5-1で勝った湘南戦とは比較にならず、映像を浴びるほど再生しながらその後一週間を過ごしたことを覚えている。

その後の磐田戦。タフな試合をこなした後に調子の悪い相手と闘うのは危険とも思ったが、4-0大勝(内容的には10-0とミシャは表現し、他サポも納得するほどだった)。拍子抜けである。ジュビロはなぜ死物狂いで来なかったのかと訝ったが、行きたくとも行けない構造上の噛み合わなさがあったのかもしれない。

ここからの上位食いの様相は、今までの低調は何だったのかという輝きであった。まずはAマリノス戦。セレッソ戦後に直ちにチケットを買い求め久しぶりの現地参戦は0-0であったが、首位相手を思えば善戦である。日産連続得点記録もここで止めたようだし。元赤黒戦士ロペスの得点取り消しは、なんちゅーかドンマイ。他サポの評価は概して「まあファールだけど、あれを取るのもフットボールの楽しみが…」という感じだったので、運もあったろう。

ともあれ、今シーズンを振り返ったときセレッソ戦を上回る試合は無いだろうな?劇的さ、重要度どちらをとっても。そう思っていた時期が私にもありました。まあ、重要なのはセレッソ戦に間違いないし、ゴニと青木のゴールは本当に大きかったなと思うわけだけど、それにしても厚別ラストのH川崎戦。なんぞこれ。誰もが2019ルヴァン決勝を思い出したであろう展開。点の取り合いで3-3になるのも、札幌が巻き返して川崎がDOGSOを犯すのも、完全なるシナリオ再現試合であった。終盤、川崎にバンバン怪我人が出ていくのは少し気の毒だったが、そういうアドバンテージをきっちり活かせたのは(数的優位で勝てなかったルヴァンと比しても)札幌の強くなった部分だろう。とりあえず小林悠、お前の顔はもう見たくない(うちに移籍する場合を除いて)。 小柏の決勝弾で100分超えの激闘を締めくくり、4-3勝利を挙げた後の憮然とした小林悠の顔を見て……ごめんなさい、少し気持ちよかった。それにしても、どういうドラマだ。最後の試合かもしれないと言われた厚別が、これをラストにはさせないよと言わんばかりの蝋燭灯火的聖地具合であった。

シャビエルが一気に給料に見合う活躍をし出した時期だったなあ。テクニシャンだけだと思ってたのにミシャの鬼走り戦術にしっかりフィットしてきたのは嬉しい驚きだった。両軍走行距離一位を叩き出した試合もあったような。さすがトッププロは違うということか。ルーカスもムラのあるプレイが無くなってきて、献身的に走るだけでなくゴールにつながる極上の技術が終盤これでもかとほとばしっていた。

A浦和戦、今季唯一、声出し応援に参戦。勝てなかったけど、ルーカスのゴールが我々の面するゴールに吸い込まれてくる感覚は格別。立体マスクを使った以外はさしたる準備もしなかったけど、意外と覚えてるというか声が出せるもので。思えば2019ルヴァン決勝以来の声出し参戦で、偶然にもどちらも埼スタでの試合であった。

A広島の鬼門も遂に突破。向こうのタイトル奪取後のバイタル的ダウンもあったかもしれないけど、ルヴァン王者にしっかりリーグで勝てたのは大変良い。降格も懸念された下位大混戦のシーズンは、この試合をもってようやく残留を果たした。残り1節、昇格一年目の2017シーズンよりも遅い残留決定であった。とにかく今シーズンは終盤の追い上げがすごく、ある意味2017シーズンに近かったといえるかもしれない(あれはジェイの活躍がスーパーすぎたのだけど)。夏の補強2枚がフィットしたところも似ていたといえる。セレッソ戦の反省を活かし、凄まじいドラマとなった川崎戦をしっかりリアタイできたのも良かった。

最終節、H清水戦。W杯の関係で11月頭だったこともあり、初めてホーム最終戦に参戦することができ、最後の最後で、遂に現地で勝ち試合を観ることができた。何もまた4-3をやることもないのに…とは思ったが(残留争いの京都、ガンバ方面は阿鼻叫喚だったようで)。なんだかんだ勝てたのは良かったけど、青木の決勝点から試合終了後にかけて、私は清水サポの席を凝視していた。直視できなかった時間もあったけど。眼の前でチームが降格する、それも2016シーズンにJ2でしのぎを削った清水。

複雑だった。それでも試合途中に清水が勝ち越したときには、いやここまで来たら我々が引導を渡すのだという良く分からない感情にもなったけど。あの8-0も現地で観ていた私には、2016の劇的勝利試合から連なる何かしらの思い入れがあったのだな。爽快な逆転勝ち、私にとっては今季現地初勝利の喜びが溢れるはずなのに、不思議と目が水気を帯びてくるのであった。
これは、私が過去を深く知らないからもあるだろう。清水が札幌をお得意様にしていた時代から応援してきた人に取れば、今回の結果は痛快な見返しだろうし、清水を気の毒に思ったとしたら何を甘いことを、となるだろう。実際私もそんな感情が湧いてくるのを戒めたかったし、徹底的に叩き潰さないとまくられるぞ、とも思った。後半失点を重ねたとはいえ最後しっかり勝ち切ったのは、私は自分のチームを誇りに思うべきところであろう(そういやこれもゴニと青木だったな…)。

隆盛を誇った静岡の2チームがトップカテゴリーから消滅する。今度はこちらが「いずれ雪辱を」を受ける立場である。返り討ちと言いたいところだけど、それとは別にして。チームがある限り、遠かれ上手くいかなくなる時期は来るだろう。私は、自チームが降格するのを生で味わったことがないのだ。そのとき、こちらがJ1で、カップ戦で、あるいは代表選手、海外選手輩出で、何らかの成功を収めていれば収めているほど、降格を受け入れられず苦しむのだろう。そのとき、私は今日凝視した光景を思い出すことと思う。あのとき清水の方々がどう振る舞っていたか。一頻り泣き、しかし過去の栄光にすがることなく、謙虚にやり直さねば。再構築しなければ。また上がったときに簡単に崩れない、確固たる地盤を作らねば…。そうか、そのときを思って私はあの光景を見つめていたのか。我ながら無用な未来視とも思うが、サッカー観戦におけるまた一つ大きな経験になった。

来季はミシャ6年目。とにかくここ2年の主力引き抜きや怪我人続出を免れて、2018・2019のような望外の躍進を、そろそろ又見たいところである。