J1 第23節 清水エスパルスvs北海道コンサドーレ札幌 IAIスタジアム日本平
本来は行くはずではなかった日本平は、2年前のJ1残留を決めた試合以来。前節のホーム浦和戦が自身の本番とかぶってしまい、札幌に居ながら行けなかった悔しさから、急遽チケットを買い求めて遠征した。
試合は思いもよらぬ結果となった。前半こそ何度か決定機を作られていたものの完封、逆に札幌の攻撃はあれよあれよと得点につながり、終わってみれば8-0の記録的勝利。久しぶりにゴール裏ではなくメインスタンドのビジター寄りに陣取っていた私は、比較的空いているエリアながら当然周りは清水サポーターの姿も少なくないエリアだった。落ち着いて観られたのは悪くなかったが、ゴール裏の発するCome on, JB!!の掛け声が心地よく、ああ、あれに加わりたかったなあ、なんて未練がましい気持ちもちょっと湧いた。
前半はチャナティップの先制点は反対側のゴールだったので、弾かれた後の軌道が見えなかったのだけど周囲の反応でゴールと知る。後半は目の前がゴールだったので、進藤のヘディング、武蔵のミドル、ジェイのハットトリック、福森の弾丸FK、チャナの2点目までよく見ることができた。宮澤キャプテンのシュートは角度的に入ったかと思ったが、逆に言えば枠を外れたシュートを挙げるのが難しいくらいの試合だったわけであり、そんなものはなかなか普通では味わえない。
昨年の9月に等々力で0-7で大敗を味わっている私は、一応惨敗の気持ちは分かっているつもりだ。まして大勝劇をホームで繰り広げられたら…。3-0辺りの幸せな気持ちは、点数が重なるにつれ次第に苦味を帯びていった。素直に自軍の快勝を喜ぶべきとも思うのだけど、どうしても気持ちが立場の弱い方へ向いてしまう。5点目以降、矢継ぎ早に得点が入っていく段になると、私の興味には周囲の反応も入り始めていた。地元のおじさん達が「だめだ、弱えもん」と失笑しながら帰っていく。観戦歴が浅いと思われる男性二人組は、逆に何点まで入るかを楽しんでいたようにさえ見えた。そして夏休みで多かった子供たちは、言葉少なながら最後まで応援していたように見えた。いよいよ苦味は極まったが、去年の大敗後、川崎の残酷なまでの攻撃力を恨みながらも、上に向かうためにはこれくらいの冷徹さ、貪欲さが必要だと分析するよりなかった自分は、それを今度は自軍が繰り広げている事実にまず当惑し、しかし時にこういうこともある、こういうことをできるようになってきた、という実感が…いくばくかの喜びとともに感じられたのは、ようやく帰りの新幹線に腰を下ろした頃だった。
入場者数:14,340人
Aゾーン席
J1 第19節 大分トリニータvs北海道コンサドーレ札幌 昭和電工ドーム大分
松本に続く泊まりがけ遠征。別府と湯布院で悩んだ末に後者に宿を取り、由布岳に囲まれた静かな土地と温泉で英気を養った後、大分駅を経て昭和電工ドーム大分へ。大雨で道程は大変だったが、開閉型ドームだけあって締め切った屋根のおかげで雨には全く濡れずに済んだ。ゲートを通るとすぐにビジターゴール裏が広がっている風景はなかなか壮観で、半屋内で少し外界が見えているのも新鮮だった。この日は梅雨寒により、半屋内は多湿ながら幾分寒く、長袖が目立った。
試合は白井のポスト直撃シュートが相手GKに当たるオウンゴールで先制するも、すぐさまオナイウの空中静止ヘディングで追いつかれ、なかなかボールを保持できずやりたいサッカーを大分にやられているような印象のまま、後半にオナイウに二点目を献上し勝負あり。終始悪かったわけではないが良い時間が少なく、選手のテクニックは素晴らしいのに攻撃も守備も中途半端で時々ミスもあります、という煮え切らないサッカーになってしまっている印象。華麗な技術も良いけど、成功率が低いのならもう少しだけ堅実なプレーを求めたい。
ところで、行きの飛行機を待つ羽田の出発ロビーで、何列か前にKappaのシャツが見えるな、と思い良く見たらアンロペだったのでびっくりした。辺りを見回すとルーカス、白井、荒野、ミンテ、ジェイ、ハリー通訳、宮沢、早坂、ミシャ監督、杉浦通訳、ティー通訳、深井、チャナ、福森、菅野、ヨモさん、ソンユン、ウリセス通訳など次々に選手スタッフの姿が確認できた。同便だったのだ。飛行機の中では菅、藤村、駒井、進藤、武蔵の姿も。もちろん話しかけたりはしなかったが、稀有な経験に心中興奮し、一層の健闘を願ったものである。今回は叶わなかったが、間近に見た彼らが躍動の末勝利を手にする瞬間を求めてやまない。
入場者数:12,384人
ビジターシート一般
J1 第15節 川崎フロンターレvs北海道コンサドーレ札幌 等々力陸上競技場
1月の高校サッカー観戦以来の等々力である。そのさらに前の等々力を思い返すと、悪しき記憶が蘇る。0-7での大敗。北海道地震の直後。バビロンの河をかき消す7点目。誰が悪い何が悪いというわけでもないのだが、やはり屈辱的であったし、いつかあの記憶を払拭するような試合をここで観たい、と思った。今年、同じことが繰り返されるのではないか、という怖さもあったが、一方で去年の記憶が残っている選手ほど、(頭では分かっていても、)札幌に対しての油断を消し去ることは難しいのではないかとも思った。攻めあぐねてくれれば、光明があるかもしれない。そんな予想をしながら、午後休を取った金曜、ユニフォームを回収して等々力へ向かった。
これは着いた直後の写真だが、最終的には金曜夜とは思えないほどの大入りとなった。札幌のスタンドも埋め尽くされたが、北海道からのサポーターはもちろん、関東サポがやはり多いだろうなと思った。そして、0-7、あるいはそれより過去からの、等々力での記憶を払拭したい人が多いのではないか、と思った。ミンテ、早坂、石川のチャントが練習されるなか、妙に早く着いた等々力で待つ試合開始までの時間は、不思議と早く過ぎていったように思う。
ジェイトップ、武蔵シャドーの陣形は今季初めて。急造で上手く行くだろうか、という思いと、二週間の中断があったのだから、という思いが絶え間なく交替する。札幌の時間帯もあり、悪くない立ち上がりを見せるなか、微妙な判定でPKを取られる。しかしレアンドロ ダミアンの真ん中を狙った低い弾道のシュートは、ソンユンの足が残っておりセーブ。ダミアンはソンユンが跳ぶのが見え咄嗟に真ん中へのシュートに変えたようだが、195cmあるソンユンの足が残っていた。ソンユンをよく知らないダミアンのPKだったことがプラスに働いたかもしれない。札幌ゴール裏は一気呵成に盛り上がり、39分にはジェイに対応したジェジエウのファールがPKとなった。
キッカー武蔵がしっかり決める。ブログを書き溜めていて思ったけど、自分の現地参戦としてはルヴァン三ツ沢以来に生で観られたゴールだったこともあり、ゴール裏でのハイタッチがまたひとしおだった。そしてリーグ戦ではノーゴールで久々の復帰戦なのに、未来ある武蔵にキッカーを譲るジェイの心意気もまた、特筆されるべきである。
後半は一転して川崎の猛攻を浴び、札幌はほぼ何も出来なかった。しかし鬼神のごとくソンユンが立ちはだかり、川崎のシュートをほとんど跳ね返した。唯一、ダフり気味の小林のシュートに上手く対応できず、一点を許したものの、あれだけのシュートの雨を一点に抑えたのは間違いなく守護神の功績であり、というか守備陣や中盤はもう少しソンユンを楽にしてあげられなかったのか、とも思うが、そこも含めて川崎の強さなのだろう。
試合後ゴール裏に挨拶に訪れた札幌の選手のなかで、最も足取りの重かったのが守護神だった。ソンユンは、点を取られたときに「気にするな、行こう」というタイプのキーパーではない。「やってしまった」と思い続けるキーパーである。それはある種の脆さかもしれないが、その責任感の強さが次へとつながり、札幌の正GKであり続けているのだろう。誰もが一つのミスを気にするな、と看過するところを許せないキーパーに対して、ゴール裏からはこの日一番の大きなチャントが送られ、ソンユンがロッカーに消えるまで止まなかった。
1月の等々力でも観た檀崎はベンチ入りしたものの出場なし。今後に期待だ。
入場者数:22,609人
ビジターA自由
J1 第12節 FC東京vs北海道コンサドーレ札幌 味の素スタジアム
もっとも行きやすいはずの味スタだが、吉祥寺からのバスがなくなり若干面倒になった。
このブログの最初に登場するのが味スタである。閉塞する日常の打破のため、思い立って近くでやっているJリーグを観てみようと当日券を求めた。あのときはバックスタンドの上層でひっそりと観ていたが、今はゴール裏が当たり前となった。一番印象的なのは、やはりジェイの2ゴールで勝った2017年10月だろうか。
さて、首位を快走するFC東京はやはり強く、ミスからの失点の後に久保建英にも決められ0-2敗戦。2017の昇格以来、J1で東京は比較的相性の良い相手ではあるが、いよいよリーグ戦で負けを喫した。この東京が去年のように夏から失速するのか、はたまた。後半戦相まみえるときには、どのような結果が生まれるだろうか。
雨の印象が強い味スタ。久しぶりに降られなかったが、試合は悔しい敗戦となった。
入場者数:24,772人
ビジター自由
J1 第11節 松本山雅FCvs北海道コンサドーレ札幌 サンプロアルウィン
今季初の泊りがけの遠征。松本に手頃な宿が取れなかったため、諏訪湖のほとりで一泊。松本城観光はあきらめ、朝に諏訪湖のほとりを歩いてみた。上着必須の寒さではあったが、良い空気をたくさん吸うことができた。
ひるがえって昼のアルウィンは日差しが凄まじく、半袖でも真夏のような暑さ。松本の紫外線はそもそも強いらしく、来場グッズにしっかりUVカット乳液を入れてくださっていたにもかかわらず、その存在に全く気づかなかった私はこんがり焼けた。頭だけはタオマフでしっかりガードしたが、それをしないと倒れそうなくらいの陽光に、雨とはまた違ったタフな観戦を強いられた。
試合中にも松本空港への飛行機が飛び交うアルウィンでの一戦は、互いに決め手を欠きスコアレスドローに終わった。チャナティップ、アンデルソン ロペスを欠く札幌はなかなか攻撃の形を作れず。暑さの影響もあったかもしれない。ゴール裏も若干暑さにやられていたこともあり、ハーフタイムにはコールリーダーの喝が入った。後半頭、ゴール裏は若干盛り返したように思う。
こういう上手くいかないときをドローで狡猾にしのぎ、いずれは勝ちにつなげていくことが強豪への道だろう。
入場者数:16,646人
アウェイ自由席
JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ第1節 横浜Fマリノスvs北海道コンサドーレ札幌 ニッパツ三ツ沢球技場
札幌の現地観戦を本格的に始めた2016年8月の横浜FC戦以来の三ツ沢。ナイトゲームということで前回の浦和戦をもしのぐ寒さではあったが、そういうときこそ進んでゴール裏に飛び込みやすい。
三年前にビジター寄りのメインスタンドで観ていたときとはまるで違う景色。遠巻きに見ていたチームを、今はサポートしているという実感が込み上げる。
期待のルーキー檀崎や岩崎、新加入の中野、帰ってきた中原が先発。後半には生え抜きの濱、藤村、中村も投入された若手中心の一戦において、結果を出したのは年長のジェイだった。相手GK朴の不用意なパントを回収すると、中野のアシストからジェイの巧みなタッチがネットを揺らして先制。後半にジェイが得点したときのゴール裏との応酬は、何度体験しても爽快である。
その後は去年札幌で活躍した三好をはじめマリノスメンバーに中盤を制圧されたこともありほぼ一方的な攻撃を受けるも、何とか一点にしのぎドロー。思えば三年前の初観戦時はJ2での好調の中にあって久しぶりの敗戦、昇格後のマリノス戦は見に行けなかったが結果は0-3の完敗だった。カップ戦でメンバーを落とす中で、三ツ沢でドローに持ち込んだ。これもまた一つの新しい景色。
入場者数:6,531人
Vサポーターズシート
J1 第2節 浦和レッズvs北海道コンサドーレ札幌 埼玉スタジアム2002
まだまだ寒い3月頭の試合観戦は、屈指のアウェー埼スタで浦和相手に完勝を飾るという、忘れ得ない試合となった。
試合開始後、すぐに浴びた山中のフリーキックが大きく枠を外れて札幌の攻撃に転じると、そのわずか数秒後には新加入FW鈴木武蔵の得点が決まっていた。電光石火だった。同じく新加入のアンデルソン ロペスを起点とした一連の流れは、何度でも観たくなるような見事なコンビネーションで、これが札幌の今季一点目となると、期待は否応なく高まった。
その後も浦和を内容的にも圧倒し、チャナティップのパスカット・スルーパスから武蔵の二点目。
後半は若干守勢に回る時間もあったものの、全体的には札幌ペースのまま2-0で試合をクローズ。浦和が新シーズンの準備に上手く行っていなかった面を差し引いても、札幌の歴史にまた一つ新たなページが加わった、そんな一戦だった。二年前に浦和に見せつけられた華麗な攻撃を、同じ監督の率いる札幌が今度は浦和に見せ返す。こんな絵が観られるのもJ観戦の醍醐味とも言えるし、単純な嬉しみだけではなく幾ばくかの苦さを伴うのもサッカーと思う。
入場者数:41,109人
ビジター自由席