J1 第15節 川崎フロンターレvs北海道コンサドーレ札幌 等々力陸上競技場

1月の高校サッカー観戦以来の等々力である。そのさらに前の等々力を思い返すと、悪しき記憶が蘇る。0-7での大敗。北海道地震の直後。バビロンの河をかき消す7点目。誰が悪い何が悪いというわけでもないのだが、やはり屈辱的であったし、いつかあの記憶を払拭するような試合をここで観たい、と思った。今年、同じことが繰り返されるのではないか、という怖さもあったが、一方で去年の記憶が残っている選手ほど、(頭では分かっていても、)札幌に対しての油断を消し去ることは難しいのではないかとも思った。攻めあぐねてくれれば、光明があるかもしれない。そんな予想をしながら、午後休を取った金曜、ユニフォームを回収して等々力へ向かった。

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これは着いた直後の写真だが、最終的には金曜夜とは思えないほどの大入りとなった。札幌のスタンドも埋め尽くされたが、北海道からのサポーターはもちろん、関東サポがやはり多いだろうなと思った。そして、0-7、あるいはそれより過去からの、等々力での記憶を払拭したい人が多いのではないか、と思った。ミンテ、早坂、石川のチャントが練習されるなか、妙に早く着いた等々力で待つ試合開始までの時間は、不思議と早く過ぎていったように思う。
ジェイトップ、武蔵シャドーの陣形は今季初めて。急造で上手く行くだろうか、という思いと、二週間の中断があったのだから、という思いが絶え間なく交替する。札幌の時間帯もあり、悪くない立ち上がりを見せるなか、微妙な判定でPKを取られる。しかしレアンドロ ダミアンの真ん中を狙った低い弾道のシュートは、ソンユンの足が残っておりセーブ。ダミアンはソンユンが跳ぶのが見え咄嗟に真ん中へのシュートに変えたようだが、195cmあるソンユンの足が残っていた。ソンユンをよく知らないダミアンのPKだったことがプラスに働いたかもしれない。札幌ゴール裏は一気呵成に盛り上がり、39分にはジェイに対応したジェジエウのファールがPKとなった。

キッカー武蔵がしっかり決める。ブログを書き溜めていて思ったけど、自分の現地参戦としてはルヴァン三ツ沢以来に生で観られたゴールだったこともあり、ゴール裏でのハイタッチがまたひとしおだった。そしてリーグ戦ではノーゴールで久々の復帰戦なのに、未来ある武蔵にキッカーを譲るジェイの心意気もまた、特筆されるべきである。

後半は一転して川崎の猛攻を浴び、札幌はほぼ何も出来なかった。しかし鬼神のごとくソンユンが立ちはだかり、川崎のシュートをほとんど跳ね返した。唯一、ダフり気味の小林のシュートに上手く対応できず、一点を許したものの、あれだけのシュートの雨を一点に抑えたのは間違いなく守護神の功績であり、というか守備陣や中盤はもう少しソンユンを楽にしてあげられなかったのか、とも思うが、そこも含めて川崎の強さなのだろう。

試合後ゴール裏に挨拶に訪れた札幌の選手のなかで、最も足取りの重かったのが守護神だった。ソンユンは、点を取られたときに「気にするな、行こう」というタイプのキーパーではない。「やってしまった」と思い続けるキーパーである。それはある種の脆さかもしれないが、その責任感の強さが次へとつながり、札幌の正GKであり続けているのだろう。誰もが一つのミスを気にするな、と看過するところを許せないキーパーに対して、ゴール裏からはこの日一番の大きなチャントが送られ、ソンユンがロッカーに消えるまで止まなかった。

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1月の等々力でも観た檀崎はベンチ入りしたものの出場なし。今後に期待だ。

入場者数:22,609人

ビジターA自由